enzoブランドの顔「中華鍋」「鉄フライパン」を支える職人の技術
お話を伺ったのは…
サミット工業株式会社
企画・開発 野瀬直人さん
工場長 本多勝明さん
スピード勝負の鉄加工も
最後は人の手による微調整がものをいう
enzoブランドの顔とも言える「中華鍋」「鉄フライパン」を製造しているサミット工業株式会社。鉄製品の製造から梱包まで、一貫して行う卓越したスピード感が強みです。今回は、企画・開発部門の野瀬直人さんと、工場長の本多勝明さんに話を伺いました。
速さを支える職人の「手」と「目」
鉄は比較的柔らかい素材なので、加工はしやすいものの錆びやすいという難点があります。鉄を加工途中のまま置いておくと錆びが進行するので、1週間以内に油処理をしなければならず、質を落とすことなくスピード感を保つことが肝心です。加工作業は機械の仕事ですが、最終仕上げは職人の「手の感覚」が必要不可欠。「機械や新しい技術の導入でスピードをあげ、職人の経験則で質を担保する。というよりは、職人が機械の出来に物足りなさを感じると言った方がよいでしょうか」と笑う企画・開発部門の野瀬さん。工場には、さまざまな加工を施すための設備が揃っていますが、結局は人の「目」と「手」で造り上げているものなのです。
正確であることが正解ではない時もある
紙に縦目と横目(折りやすい向き)があるように、金属の板材にも縦目と横目があり、向きによって伸びが変わるのだそう。仕入れた板材は目の向きが揃っているわけではないので、作業者が加工をしながら確認する必要があります。加えて、溶接部分の角度や形状も商品によって変わるので、同じようにしか動けない機械にはできません。そこで同社では、あえて昔のやり方に戻したり新しい方法を試したりと、手作業の感覚で微調整を繰り返して正解を探っていくのだと工場長の本多さんは言います。「24歳で入って、もう30年。ずーっと作っているけれど、まだ足りない。一生懸命汗かいて、これからも極め続けていきたいです。なにせ頭が良くねっけ」と照れる工場長の笑顔が、ものづくりの楽しさややりがいを物語っているようでした。
技術継承のための下準備も欠かさない
地抜き、絞り、つば抜き、バリつぶし、口出し、穴あけ、油処理、塗装…。鉄鍋の製造工程は、覚えなければいけないことが非常に多いもの。同社の職人は、全ての作業を覚え、臨機応変に持ち場を移動しながら製造を行います。それは速さの秘訣ではあるのですが、同時に人材育成のネックになっている側面もあります。特に難しいのは種類によって部品の数も順番も異なる金型の付け替え。「4年前までは熟練者しかできなかったのですが、新人もできるように一覧表を工場に掲示。後進の育成はどこの工場でも課題ですが、若い人も諦めることなく技術を磨けるように努力しています」工場内を案内しながらそんな説明をしてくれた本多さんが見つめる先では、20代の若手が汗を流していました。人と人の「縁」をつなぐenzoシリーズは、使い手の皆様はもちろん、工場で働く職人たちの縁も繋いでいきたいと思っています。
[会社概要]
サミット工業株式会社
〒959-1202 新潟県燕市松橋123-1
TEL 0256-63-2138 FAX 0256-63-2140
業務内容:鉄製品の製造および販売
https://tetsunaberyu.jp