IH対応のフライパンや鍋はガス火で使えますか?
「お店で新しいフライパンを購入して、家に帰ってよく見たらIH対応と書いてあった。自宅はガスコンロなのだが使ってはいけないのか?」といったご質問を頂くことがあります。また逆に「ガス火専用製品はIHで使えるのか」というお問い合わせも多く頂きます。
結論から言うと「IH対応の製品はIHでもガスでも、その他の電気ヒーターでもお使い頂けます」。
また「ガス火専用製品はIHではお使いいただけません」。
ラベルには各種の法律などで決まりとして記載しなくてはならない項目がたくさんあるため、出来る限りわかりやすく表示をしているつもりですが、見落としてしまうお客様も多いようです。そこで今回はIH対応とラベルに表示されている文字で判断するのではなく、実際の製品で判断する時に参考となる内容をご紹介します。
- IHに使える材質と使えない材質
- IHで使えるフライパンかどうかの見分け方
目次
IHクッキングヒーターってなに?
火を使わないから、年配の方やお子様が使っても安心、火力が強いので省エネなどの理由で導入されている皆様も多いと思います。ガスと単純に比較出来ない部分もありますので、IHクッキングヒーター自体を少し理解しておくとフライパンに限らず調理道具を購入されるときの参考になるかもしれません。
IHは日本語にすると「電磁誘導加熱」という少し難しい言葉になります。(はい!そこのアナタ! 今ページ移動しようとしましたね(笑)。もう少しおつきあい下さい。)
ガスコンロ
IHクッキングヒーター
鍋・フライパンが熱くなる原理
皆さん火が出ない・安全であるというのはなんとなく理解されていると思います。ただ「じゃあ、なんで熱くなるの?」といったら、理由をご存知の方は意外と少ないのではないでしょうか。
専門用語や本当に難しい原理等は機器メーカーさんにお任せするとして、簡単に言うと、スイッチを入れると機器から磁力(※)が出て、その磁力(※)が鍋フライパンの金属の中を流れていくときに熱を出すという風に思ってください。
※厳密には渦電流と呼ばれる電気の流れ
IHクッキングヒーターは
磁力が金属の中を流れていくときに熱を出します
熱くなる材質とならない材質
十分に小難しいじゃないか!!とお叱りが聞こえてきそうですが、もうちょっとだけ。
磁力というとイメージしにくいかもしれませんが「磁力を発しているもの」と言い換えてみると、マグネット・磁石など皆さんの身の周りでも結構存在しています。
では磁石が付くものを思い浮かべて下さい。
事務用のマグネットだったらホワイトボードや黒板、冷蔵庫の側面、ホーローのキッチン周りの壁などが思い浮かびますね。これらは塗装や加工がしてありますが元々の素材は鉄、最も磁力が通る金属です。
銀色のピカピカ仕上げのステンレスは元々の鉄にさびにくくするための成分を混ぜ込んだ合金で、混ぜるものによって磁力が通らなくなることがあるので、全てに磁石が付くとは言えません。
前項で磁力が鍋・フライパンの金属の中を流れていくときに熱を発すると説明しました。つまり、磁力が通らない(磁石が付かない)物は基本的にIHでは熱くならないのです。IHは便利なのですが、相手を選ぶ機器なのです。
鉄製のフライパンや鍋は
IHで使えます
ステンレス製のフライパンや鍋は
IHで使えるものと使えないものがあります
鍋・フライパンをIHに使えるようにするための製造法
今回は特に市場に多いアルミニウム(合金)の鍋・フライパンを例にして説明します。
アルミニウムは元々磁石に付かないわけですから、そのままだと逆立ちしてもIHで使える様にはなりません。その為ほとんどの場合、磁力が通る(磁石が付く)素材を付けてIHに対応させる方法を取ります。
最も一般的なのが底面にステンレスなど別の金属を打ち込んだもので、円盤形(玉子焼は長方形)の磁力が通る金属を底面に打ち込む事でIHで使えるようにします。
打ち込んだ金属部分はほとんどの場合、金属色のままで多数の丸穴が放射線状に配置された模様が見られます。一部の製品ではこの打ち込み用の穴にデザイン性を持たせて差別化を図ったものも出てきていますが、基本的に丸穴が放射状に配置されている事に変わりありません。
IHに対応させるために
ステンレスを打ち込んだ製品の例
IHに使えるフライパンを見分けるには
繰り返しになりますが、ガスコンロをお使いの方は、フライパンや鍋がIH対応/非対応に関わらず、問題なくお使い頂けるので、ご安心ください。
逆にIHクッキングヒーターをお使いの方は「ガス火用」のフライパンや鍋をお買い求めされてしまうと、IH機器に反応せずにせっかく買ったものをお使い頂けないという形になるので、注意が必要です。
IHに対応している製品は下の方法で比較的簡単に見分けることができますので、参考にしてみてください。
底面を見て模様を確認する
IHに対応している製品は円盤形(玉子焼は長方形)の多数の丸穴が放射線状に配置された金属板が打ち込まれている物がほとんどです。※これに当てはまらない特殊なものも一部あります。ぐるっと一周紙製のラベルが巻かれて販売されている事が多いフライバンですが、少しだけラベルをめくって底面を確認してみてください。
底面に金属板が打ち込まれている製品は
IHで使える可能性が高いです
磁石を使って確認する
磁石といっても、そんなに常に持ち歩いてるわけではないでしょうからハードルが高いように思われるかもしれません。確かにその通りなのですが、フライバンや鍋を売っている売り場にはキッチン用品も多く、マグネット付のキッチンタイマーや容器など探すと意外とあるものです。ちよっとだけ、それらを借りてフライパンの底に当ててみると判別できるのでよかったらお試しください。底面に磁石が付く製品は、IHでお使いいただけます。
IH対応品をガス火で使うメリット・デメリット
何度も繰り返しますが「IH対応」と記載されたフライパン・鍋はガスコンロでも問題なくお使い頂けます。
ガス火専用品は軽い金属のアルミニウムのみで作る事が出来る為、非常に軽い製品になります。一方IH対応品は打ち込むステンレスという金属自体が重いのと、打ち込まれる側のアルミニウム側にも一定の厚みが必要で、ガス火専用品より厚めの材料を使わなくてはいけません。これによりIH対応品はどうしてもガス火専用品より重量が重くなります。
アルミニウムが厚い・ステンレス板がある、まずこれだけで原材料費がかかる事に加え、打ち込みの加工費も加わるので、ガス火専用品より割高になります。色々なものが値上げされている中、本来不要な機能の為に値段が高い物を買いたくないですよね。何より、IHクッキングヒーターを使ってないのに、IH対応の製品を使ったら何か不具合があるのではないか?と心配されている方もいらっしゃるかもしれません。
ご安心ください。もちろん問題はありませんし、ガスコンロでIH対応の製品を使う利点も実はあるんです。
IH対応の製品は前段の様に底面にステンレスの板を打ち込んでいるため、必然的にアルミニウムだけのガス火専用より底の厚さも厚くなっています。また、ステンレスはアルミニウムに比較して熱の伝導が悪いので、ガスの熱を底面に受けた際にじわりと熱が広がり熱の偏りを防いでくれる効果があります。
熱が偏りにくいという事は、調理物全体に均等に熱が入るのと、内面に塗ってあるふっ素の熱の偏りによる部分劣化が少なくなる効果もあります。
IH対応品をガスコンロで使うと
調理物全体に均等に熱が入ります
- 「IH(対応)」と記入されている物はガス火にも問題なくお使い頂けます。
- 逆に「ガス(火専用)」と記載されている製品はIHにはお使い頂けません。
- IHに使えるフライパン・鍋は外側の底面に丸穴が沢山空いたステンレス板が打ち込まれているものがほとんどなので、底裏を見て判別しましょう。
- 見た目で判断がつかない場合は底面に磁石を当ててみて、磁石が付けばIHに使えると判断できます。
和平フレイズのおすすめフライパン
ufufu(うふふ)フライパン
IH対応品とガス火専用品の両方を取り揃えており、お使いの熱源に合わせて選べます。内面に引いた油が中央にとどまりやすい形状なのが使いやすいポイントです。
enzo(エンゾウ)鉄フライパン
IHでもガス火でも使える鉄製のフライパンです。強火でさっと調理ができる鉄製だから、肉の旨味を逃さずに香ばしい焼き上がりになります。
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