軽いフライパンの使い方と選び方
昨今、弊社のみならず技術革新で「かるい」「軽量」を特徴にしたフライパンシリーズが人気です。
軽いので取り回しやすく、お手入れなども簡単で良い事づくめの軽量タイプですが、軽さを追求した結果モノの構造的に避けられない弊害になってしまう点があります。それは内面に施した「ふっ素樹脂」の寿命に関わる部分です。
今回は、この弊害の部分をカバーしより快適にお使い頂けるちょっとしたコツと、総合的にフライパンを長持ちさせるための選び方をご紹介します。
- 軽いフライパンがふっ素樹脂加工に及ぼす影響
- 軽いフライパンの使い方と選び方
目次
軽いフライパンがふっ素樹脂加工に及ぼす影響
軽い(軽量タイプの)フライパンは厚底で重量があるものに比べ、使い方によっては早期にふっ素樹脂加工が劣化しこびりつきが発生しやすくなります。
熱伝導の良さがアダに!アルミニウム合金
多くのふっ素樹脂加工フライパンに使用されているアルミニウム合金はとても熱伝導(熱の伝わり)が非常に優れた金属です。「熱しやすく冷めやすい」と思ってください。
炎の熱等が当たった部分から拡散しやすく熱ムラが少ないという特性を持っていますが、厚みが薄いと熱が周囲に伝わり切る前に、炎や熱が当たった場所だけが過剰に温度が上がります。熱伝導がよい素材だからこそ起こってしまう症状です。
軽量タイプのアルミニウムフライパンは
特定部分だけに熱の負荷がかかりやすいです。
重量は厚みに比例する
「一円玉は水に浮く※」と言われるように非常に軽い金属の一つであるアルミニウム合金ですが、フライパン等を作るとなるとそれなりの質量が必要となります、昔からフライパンに使われているアルミニウム合金と最近の軽量タイプのフライパンに使われているアルミニウム合金は同じもので、素材そのものが変化したわけではありません。
軽量化を実現した大きな理由は加工技術の進化によるもので、原料となるアルミニウム合金の板の薄いものを使っても強度を保てる工法やダイスカスト(流し込み)加工機の性能向上による薄肉化工法等が確立された為です。軽いフライパンの多くは、一昔前のフライパンと比べて使用されているアルミニウム合金の厚み(板厚)が薄い傾向にあります。
より軽いものはより厚みも少ないと言った感じで、重さと厚みは比例していると思ってください。
※アルミニウム合金の密度は水より多いため、アルミニウム全てが水に浮くものではありません。一円玉が水に浮くのはアルミの撥水性と表面張力による浮力が発生するためで、本文ではアルミの軽さを表現するために引用したものです。
軽量タイプのアルミニウムフライパンは
板の厚みが薄くなっています。
軽いフライパンで起きている底面の熱の偏り
ガス火用の軽量タイプでアルミニウムの厚みが薄いフライパンは「超・熱しやすく、超・冷めやすい」といった感じの特長があります。使用開始時に強火で始めてしまうと先に解説したように、全体に熱が伝わる前に特定部分だけ過酷な熱の負荷がかかり、火力によっては部分的にふっ素樹脂加工の耐熱性を超える場合があります。
これらを数回繰り返すと、見た目には何にもなくても特定場所のふっ素樹脂が劣化し「その部分だけ焦げ付く」等の症状が出てしまいます。それら防止のため取扱説明書にも「火力は中火以下、過度の空炊き禁止」をお願いしています。
フライパンを使う時の火力は中火以下
過度の空炊きはしないようにお願い致します。
軽いフライパンの使い方と選び方
軽いフライパンは板厚が薄い傾向にあり、予熱時などにふっ素樹脂加工へ過剰な負荷がかかってしまう場合がある事がお分かりいただけたと思います。これを踏まえて軽いフライパンでおすすめの使い方、選び方をご紹介します。
ガス火専用品の軽量タイプは使い方のコツあり
ものすごーく、極端な表現ですが薄く油をひいて、フライパンをコンロに置き食材を入れてから火をつけてください(その位の意識でという事です)。たったこれだけで一部分だけが過剰に温度が上がるのを防止し、フライパン表面のふっ素樹脂加工にとってもやさしい使い方になります。
食材を入れたときに「じゅーっ!って音がしないと、焼いた気がしない!!」と感じる方も大勢いらっしゃると思います、実は私もそうです。そんな方はちょっと面倒ですが、下の様にしてみてください。
- フライパンを予熱する前に食材を投入する。
- 予熱を行っている間はこまめにコンロの上でフライパンを動かしまんべんなく加熱する。
ガス器具をお使いでもIH対応をあえて選んでみる
IH対応とラベル等に表記のあるフライパンは、IHクッキングヒーターに反応させるため底部にステンレス製の板を埋め込んであるのが一般的です。ステンレスはアルミニウムと比較して冒頭に記載の「熱伝導」があまり良くない金属の部類に入ります。「熱しにくく、冷めにくい」という事ですね。
「超・熱しやすい」アルミ薄板に「熱しにくい」ステンレスを組み合わせることで、ガス器具からの熱を適度に分散することができます。そのため炎や熱が当たった場所だけが過剰に温度が上がると言った事が起こりにくく、余裕をもって調理していただくことができます。
軽量フライパンの中でもIH対応品は
適度に熱を分散する事ができます。
- 軽量を売りにしているフライパンは板厚が薄い傾向にある。
- 板厚の薄いものは一部分だけ過剰に温度が上がりやすいので、予熱を含めてこまめにコンロ上で動かす。
- 火力は中火程度で調理をする事を心掛けて頂ければ長くお使いただくことができます。
和平フレイズおすすめの軽いフライパン
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