製品豆知識

揚げ物調理は気をつけて! 意外と知らない油のこと

揚げ物調理は気をつけて! 意外と知らない油のこと

油の高騰や調理時間の短縮を背景に、少ない油で調理できる天ぷら鍋や揚げ焼きが人気を集めています。ガスコンロやIHクッキングヒーター自体も進化し、事故を未然に防ぐ工夫がされていますが、ご使用いただく方が正しく理解し利用することで、より快適に安心して料理することができます。今回は、油の温度上昇の特性と注意点について詳しくご紹介します。

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調理による火災ってどのくらい起きているの?

出典: 総務省消防庁発表報道資料(令和6年11月8日)

出典: 総務省消防庁発表報道資料(令和6年11月8日)

総務省の令和6年度消防白書によると、令和5年に発生した火災総件数は38,672件で、そのうち台所・調理が関わる火災は2,838件で第3位となっています。特にコンロからの出火が多く、消し忘れによる油の過熱が原因となることが多いです。年間約3,000件の火災がコンロ周辺から発生している事実を踏まえ、調理中は目を離さないようお願いいたします。

たとえば

・スマートフォンの通知をちょっと見ていた
・宅配便の届け物を受け取る少しの間に目を離した

といった、うっかりなケースから始まることも多いので油断は禁物です。

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「揚げ物」と「揚げ焼き」の違い

時短や節約などの観点から、少ない油での「揚げ焼き」レシピが数多く公開されていますが、厳密に「揚げ物」と「揚げ焼き」の境界線はあいまいなものとなっています。

「揚げ物」と「揚げ焼き」の違いは“油の量”にあります

揚げ物

「揚げ物」は食材全体が油に浸る量で調理をします。全体を均等に加熱するため、肉厚の食材や天ぷらなどに適しています。

揚げ焼き

「揚げ焼き」は食材の半分程度までの油で調理をします。短時間で仕上げることができ、薄切り肉や魚の調理に適しています。

おいしく仕上げるためには、その時々に合わせた油の量や時間といったコツが必要となってくるため「揚げ物」をする場合、適正な油量でしっかりと揚げることをお勧めします。

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油の特性を知ってより快適で安全に

それぞれの調理やお使いいただく道具、その時々の状況によって使い分けていたたければ良いですが、油を使う以上、危険が隣り合わせであることは忘れないでください。

調理用品メーカーでは業界の指導に基づき、取扱説明書に以下のような注意事項を明記させていただいています。

<取説表記例>【1】「揚げ物調理可」のお鍋の場合

「揚げ物調理可」のお鍋の場合

<取説表記例>【2】「揚げ物調理可」のフライパンの場合

「揚げ物調理可」のフライパンの場合

揚げ物が可能なフライパン(深型タイプ)でも
油の温度を200度以上にしないこと。

<取説表記例>【3】「揚げ物調理不可」のフライパンの場合

「揚げ物調理不可」のフライパンの場合

フライパン(浅いタイプ/小径タイプ)では
揚げ物をしないこと。

少量の油で調理する場合、急激に温度が上昇するため、200度は危険な温度ともいえます。製品評価技術基盤機構(NITE)[※]の調査によると、100ml(約80g)の油をIHクッキングヒーターで加熱した場合、1分未満で200度を超え、2分で370度を超え発火に至ったというデータがあります。揚げ物が可能なフライパン(深型タイプ)でも、油の温度を200度以上にしないでください。少量の油での揚げ物は思っていた以上に温度が急激に高くなることがありますので注意が必要です。

※出典元:独立行政法人製品評価技術基盤機構

浅い、または、小径のフライパンしかお持ちでないお客様や温度計をお持ちでないお客様からは、不親切だというご指摘いただく事もあります。弊社の取扱説明書においては火災によってお客様に被害が出ないよう、また安心してお使いいただけるように最大限の注意喚起をさせていただいております。ご理解いただければ幸いです。

「油が危険なのは知っている、ただ、具体的にどうなったら危険なのか?」をご存知の方は意外と少ないのかもしれません。以下に、油が危険になるポイントを5点ご説明いたします。

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加熱のしすぎに要注意


調理油は直接火(火種)が回らなくても、温度が上がりすぎると自然に発火します。その温度は約370度近辺で、油の量に違いはありません。ただし、油の量が少ないほど上昇スピードは速く、加熱後数分で発火温度に達する場合があります。300度近くになると、油が気化して白煙が発生し、この煙に火種が接触すると引火します。ガスコンロの場合は炎が側面に回らないよう、IHクッキングヒーターの場合はパワーを落とすなど、細心の注意を払ってください。

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料理と道具に合わせて、油の量は適切に


一般的に揚げ物で推奨されている最低油量500g以上は、温度上昇が比較的緩やかで一定の温度を保つ時間が長く、安全性が高いとされています。少量の油で冷凍のフライドポテトなどを調理すると、表面についた霜や重なりあった箇所が多く、投入直後に細かい泡が一気に出ることがありますので、油はねに注意してください。

また使用する揚げ物に適した道具が料理に対して大きすぎると最低油量500gを守っても、食材が十分に浸らない状態になってしまうので、料理に合わせて油の量を調整してください。

料理と道具に合わせて、油の量は適切に

料理と道具に合わせて
適切な量の油を使用してください

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鍋底が極端に汚れていないか


昨今のコンロは過昇温度防止センサーがついている機種が多く、途中で火力を弱めたり、消したりしてくれるので安心と思われている方も多いでしょう。しかし鍋底が極端に汚れていると過昇温度防止センサーが働かず、発火事故に至ったケースもありますので、油の温度だけでなく調理道具のお手入れも忘れずに行ってください

鍋底が極端に汚れていないか

この様な鍋底の極端な汚れは
落としてから使用してください

またコンロ機器の「揚げ物」設定は、機器メーカーが提供する専用または推奨の鍋類が対象のため、弊社を含む市販の揚げ物に適した道具の場合、正確な温度検知ができないことがあります。
参考:IHの揚げ物モードと鍋について

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鍋底が変形していないか


こちらもコンロの過昇温度防止センサーが働かない場合があります。使用前に底面に歪みや変形が生じていないかの確認を行なってください。

鍋底が変形していないか

鍋底が凹凸に変形したり、歪みが出たものは
使用しないでください

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油の処理と保管方法


使用後に油を処理する場合は、ご使用になる廃油処理剤の取扱説明書をよくお読みの上、油の熱が十分に冷めたことを確認してから処分を行なってください

油を再利用する場合は、冷ましてから酸化を防ぐために密閉容器(オイルポット)に入れ、冷暗所で保管してください。

鍋底が変形していないか

油の熱が十分に冷めたことを確認してから
処分を行なってください

近年、料理にかけるコストや時間の節約を工夫されている方も多くなっているのではないでしょうか。揚げ物料理はもちろん、調理道具を正しくお使いいただき、安心な料理作りのお役に立てれば幸いです。

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